研究概要 |
「潜在的科学能力を引き出し科学的認識の深化発展を促す総合科学実験教材の開発」の研究課題として14年度は下記の研究実績を上げた。 1)合成・天然色素を課題とした教科横断的・総合科学実験カリキュラムの試行 鳴門教育大学・自然系理科教育コースの学部3年生と大学院生(修士)に実施した本総合科学実験カリキュラムは,身近なアゾ色素の合成を課題とし,学習者を教科横断的・総合的に事物・現象に興味・関心を持たせ,自身の潜在的科学能力を引き出し科学的認識の深化発展を促すことを配慮した六段階からなる。第一段階:アゾ化合物の歴史,産業,応用,環境問題,合成方法について情報検索;第二段階:ジアゾニユム塩の反応性,数種のアゾ化合物(染料の合成);第三段階:アゾ染料の構造解析,機器(NMR・IR・UV・MS)の利用とその原理;第四段階:コンピュータを利用した染色機構の解明,ブルーコピー感光紙(ジアゾニュウム塩の一種)を用いた種々の色素の合成,比色計の作成,二酸化窒素の測定;五段階:アゾ色素による染色の実践,種々の繊維に対する染色効果;六段階:実験研究の発表・討論・自己評価 本科学実験プログラムの特徴は,総合的に物質を探究する能力と潜在的科学能力を引き出し科学的認識の深化発展を促すことができ,学習者は,色々な実験試料を選択し,応用・実施できる実験方法を提唱したことにある。 2)中学・高校生を対象にした「アゾ色素を用いた総合科学実験研究の体験」という課題で公開講座の実施(3日間):大学・教育委員会・現場教師・地域の専門家との連携により,上記の実験プログラムを改良し,実施した。現場教師の専門知識の向上と学生・院生の実践例及び学習者の潜在的科学能力を引き出し科学的認識の深化発展を促すことができる教材を提案し実践した。
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