1)変声期児童の実態調査(11人) (1)現在、変声初期と見なされる児童及び今後1年前後で変声期に入ると予測される男子児童を抽出し、その実態を面接法により調査した。また、これらの児童に対して継続的に歌唱指導を行っている2名の教諭の協力を得て、被検者の声に対する認知について記述方式による調査を実施した。 調査内容は、身長、体重、身体的特徴、歌声及び話声の特徴、合唱部等の歌唱訓練経験ならびに音楽活動歴等である。 (2)上記の児童の歌声および話声について、デジタルビデオカメラにより音声サンプルの採取を行った。サンプル採取に当たっては、開口母音ならびに閉口母音をそれぞれ代表するものとして/ア/音と/イ/音を用い、C1〜C2、G1〜G2の上行、下行ポルタメントならびに1G・2C・2Gの3音を採取した。また、楽曲歌唱サンプルとして、児童が歌い慣れた校歌の一部を/ア/音で歌唱させた。更に変声過程における音域の変化を調査するために、発声可能な音域について、/ア/音を用いて歌唱させ、録音採取した。 2)採取音声サンプルの蓄積 今後、児童の音声変化の過程を明確に提示し、波形を分析するために、MPGデータおよびWAVデータによりCD-RとDVDに整理して蓄積した。 3)音声サンプルの分析 音声サンプルの分析については、「パワー包絡」「ピッチ」「スペクトル」「ソナグラム」「ホルマント」の各視座から検討中であるが、換声点を特定する場合は、仮説段階であるが「ピッチ分析」が有効である。
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