1)変声期児童の実態調査(9人) (1)前年度と同じ条件で採取に配慮して追跡調査を行った。すなわち、変声初期もしくは中期と見なされる児童め変容に焦点づけ、面接法による調査と音声採取を行った。調査内容は、身長、体重等の身体的特徴の変化、歌声及び話声の変化、指導者の助言等である。 (2)音声標本の採取に当たっては、声域調査歌唱は、開口母音/ア/によりG4〜歌唱可能最高音(採取音E6)、G4〜歌唱可能最低音(G2)、また上行・下行ポルタメントはC4〜C5、G4〜G5の1オクターブと、変声後期で歌唱可能な児童にはC3〜C4、G3〜G4を、さらに3母音5音はG4、C5、G5の標本を採取した。その他、楽曲歌唱サンプルとして、児童が歌い慣れた校歌の一部を歌唱させた。 2)採取音声標本の蓄積 採取した標本をMPG及びWAVEデータへの変換を行うとともにDVD-Rへの蓄積を行った。 3)音声標本の分析 熟達者の聴覚的判断と近似する分析は、フォルマン分析であるとの前提で研究を行い、第4フォルマントの高さが変声の推移とともに下降し、第5フォルマントは水平もしくは上昇することを見出した。この観点は変声期を特定する方法として独自の方法であるが、聴覚的に変声期の特定が困難な場合でも、児童の音声や身体の変化を如実に示す点で、その効力を発揮した。
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