研究概要 |
今年度は、遊動的発達仮説を検証するための調査計画を策定することを主目的にし、そのため、現職教諭に対する聞き取り調査、その結果をもとにした調査問題の検討、そして試行調査を実施した。研究成果は以下の通り。 1)現職教諭からの聞き取り調査の成果 研究協力者として、長崎市内の小学校・中学校の現職教諭を招き、研究組織を結成した。彼らから、日頃の授業の場面や日常の場面で見せる子どもの杜会認知の実態について情報を収集するとともに、調査計画について意見を聴取した。その結果、(1)現職教諭が本研究に強い関心を抱いており、中学校でも調査が実施可能であること、(2)様々な場面において子どもが合理的な判断を示すことがあること、(3)その判断は子どものおかれている状況に影響を受けていると思われること、(4)調査で子どもの判断基準や理由を明らかにする必要があること、(5)子どもは判断理由を調査で記述できるであろうことの各点が明らかになった。 2)調査問題の作成と試行調査 以上を参考に調査問題をリニューアルし、試行調査を実施した。対象は、小学校3,4,6年1クラスである。子どもの判断を問う問題に対する反応については、これまでの調査の結果と同様であった。一方、子どもの判断基準や理由を問う問題では個性的な回答が多く、個々の子どもの思考内容を有機的に追跡できる資料となることが判明した。ただし、その中にあって判断の個別事例を挙げる同語反復的な回答も目に付き、問題の改善の必要が痛感された。また、個々の記述内容を逐一分析するため、分析に時間を要することも判明した。現在、詳細な分析を続行中である。
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