最終年度の今年度は、昨年度学会発表時に議論された課題について検討するために、予定を小変更し、1年目調査、2年目調査、3年目調査の結果の分析に注力した。 分析対象データは、1年目調査から継続して3年間調査対象となった児童のデータを抽出し、彼らの反応データを追跡した。 分析手法は、昨年度の手法と同じ手法を用いた。つまり、それぞれの設問に対する反応の中で特に遊動性が高く見られるものについて、子どもの意思決定の中身にまで踏み込んで分析した。遊動性の判定には、昨年同様、変動性値Chと遊動性値Swを用いた。さらに、子どもの判断の論理分析を行った。論理分析の結果は極めて興味深く、同じルールを適用しながら全く別の判断に帰着する子どもが存在することが昨年同様分かった。そして、もう一段上位の顕在化しないルールを推測して分析し、子どもの判断体系を類型化して示した。 以上、今年度の研究は、昨年度開発した研究方法論を発展させ、子どもの反応を論理分析することによって、子どもの判断体系を析出し、ルール適用の恣意性の中に見られる論理性を示すことができた。
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