研究概要 |
14年度に全国の医学部における英語教育の調査を行ったが、15年度には全国の医師対象に(1)英語の使用状況及び(2)医学部での英語教育要望調査を行った。全国の大学医学部勤務医師400名、厚生労働省の臨床研修指定病院、高度専門医療機関勤務医師1,765名、開業医1,000名、計3,165名にアンケート用紙を送付し、上記(1)(2)について調査し、英語教育実態調査結果と比較検討し現在医学部で将来必要な英語力をつける教育が行われているかを検証した。(なお、このアンケート調査に関しては、その趣旨を充分説明したうえで協力を得た。) 医学部勤務医師61.8%、臨床研修指定病院、高度専門医療機関勤務医師40.3%から回答を得た。(開業医は回収中)(1)「英語論文講読」は4割の医師が週1回、「外国人患者診察」は3割「英文手紙作成」は2割が半年〜1年に1回、「英文診断書作成」「英語論文執筆」「英語抄録執筆」「英語での学会発表」は3割が数年に1回の頻度で行っている。(2)「医学英語語彙」「診療英会話」「英語論文講読」「英語論文執筆」「英語抄録執筆」「英語での学会発表」各項目を大学で教育する「必要がない」と答えた医師は1割に満たなかった。一方、教育実態は、上記の項目を1つでも取り入れている大学は9割に上るが6年間を通じて全項目を取り入れている大学はほとんどない。 英語の使用状況は「英語論文講読」を除く項目では頻度が低いけれども、大学の英語教育に対しては大部分の医師が医学・医療に特化した英語教育を要望している。この要望に対して、6年間一貫した体系的な医学英語教育を実施している大学はほとんどなく、充分この要望に応えられていない。また今までこのような教育に力が入れられていなかったために使用頻度が低いとも推察出来る。
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