本研究は平成14・15年度の2年間で実施した。研究内容は、独自の作成教材を使用した実証研究とその使用結果についてアンケート調査を行うことであった。 実証研究(平成14年度)について:本研究実施前に作成したコミュニケーション方略(CS)指導教材(English Generative Learning : ENGEL)を使用して、79名(データ分析対象者は73名)を対象にCSトレーニングプログラム(CSP)を実施し、同プログラムの前後と約2ヶ月半後の3回に渡って実験群、統制群にグループ分けした学習者から4種類の口語データを収集した。分析の結果、CSPは言語知識を再構築し言語処理の効率と速度を速めることや学習動機を高めることには大いに期待できるものの、新しい言語知識の獲得という点についてはさらに研究が必要であるという結論に達した。 アンケート調査(平成15年度)について:初年度の実証研究結果に基づいてENGELを改良し、高校生や大学生を対象として多くの英語学習者にこれを使用してもらい、使用の感想をアンケート調査した。教材は約300名に配布したが、そのうち約1/3の約110名から回答が得られた(プライバシー保護のため、回答は申請書に記した通り、無記名、自由回答とした)。回答を分析した結果、ENGELの指導内容、とりわけCSの概念が十分に学習者に理解されていること、コンピュータを使った学習であったが学習者の学習動機を高めることに十分貢献していること、さらに継続した学習を望んでいることが分かった。 以上のとおり、2年間の研究計画を滞りなく実施した。本研究では、語彙レベルのコミュニケーション方略について重点的に研究を行った。今後は研究範囲を広め、実際の言語使用を想定した語用論的な要因を取り入れた方略研究に発展させていくことにしている。
|