研究課題/領域番号 |
14580308
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
進藤 美津子 上智大学, 外国語学部, 教授 (40082177)
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研究分担者 |
加我 牧子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 部長 (20142250)
玉井 ふみ 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教授 (10280207)
荻野 美佐子 上智大学, 文学部, 教授 (70185528)
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キーワード | 後天性小児失語症 / 小児用聴覚的構文理解検査 / 小児用構文産生検査 / 失語症児の検査・評価法 / 失語症児の訓練・指導法 / 小児失語症に関するアンケート調査 / 実態調査 / 学習困難 |
研究概要 |
本年度は、本研究の2年目としで以下のような研究を行った。 1.国内外の小児失語症の評価法・指導法に関する文献調査:進藤、荻野、玉井、加我は、昨年に継続して国内および国外の(1)失語症児の検査・評価法、(2)失語症児の訓練・指導法に関する文献を収集し、検討した。 2.小児用構文理解・産生検査の作成と実施:進藤、荻野は、研究協力者の院生と共に小児用構文理解能力および構文産生能力検査を考案し、健常児70名(4歳〜6歳)と後天性小児失語症児4名(6歳、7歳、9歳、17歳の各女子)に検査を実施した。その結果、(1)聴覚的構文理解課題では、4歳児は非可逆文、5歳児は主語が文頭にくる可逆文および前置詞を含む構文、6歳児は受動態、使役態、主語と目的語の語順が逆になった構文が理解可能であった。失語症児では、全例とも4歳レベルは通過し、5歳レベルも再刺激で正答できたが、6歳レベルの課題から蹟きがみられた。(2)構文産生課題では、健常児の4歳児は非可逆文、5歳児は可逆文、6歳児は受動態の産生が可能であった。使役態は6歳児であっても産生困難であった。失語症児では健常児群と比べて、5歳レベルの課題から遅れがみられ、格助詞、態ともに習得が遅れており、歴年齢でのレベルと比べて稚拙な文の産生が目立った。以上の結果から、本検査は、小児失語症児の言語評価として適用可能ではないかと思われた。 3.小児失語症に関するアンケート調査の実施:進藤、荻野、玉井は、小児失語症児の言語症状や学習困難な状況および失語症児の評価法・指導法についてのアンケートを作成し、全国の言語聴覚士のいる小児施設334箇所(言語聴覚士協会会員名簿、コミュニケーション障害学会会員名簿より)および全国公立学校難聴言語障害教育研究協会事務局44箇所にアンケート用紙と返信用封筒を送付し、実態調査を行った。アンケートには、失語症児の背景、言語行動面(対人関係、ことばの聴覚的理解力、ことばの表現力、読字力と読解力、書字力と作文力、数と計算、記銘力)、行動面、学習面、および失語症児に用いている評価・言語指導、指導上苦労していることなどの項目を設定した。現在、アンケートを回収・分析中である。
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