本研究は、日本人学習者の英語文章産出プロセスが、大学在学中の3年半にわたってどのように変化していくかを調査することを目的とした長期観察研究である。平成15年度(4年間のプロジェクトの2年目)以降、(1)1年次にプロセスライティングを受けなかった学生を「統制群」として、「実験群」とほぼ同数参加させる、(2)数人の被験者にとって「留学直前」である「2年次の夏」を加え、観察時期を4回から5回に増やす、の2点で改善したため、平成17年度に当初計画した全てのデータ採取を終えることが不可能になってしまった。しかし、4年間の最終年度である平成17年度末に、初年度から観察を続けている被験者9名(1名は退学のため脱落)についての観察は完結したため、その9名についての報告書を作成した。この9名の報告書には、従来の第2言語作文研究で扱われてきた量的変数(一般英語力、英作文力、書く流暢さ、書く際に使うストラテジー)に加えて、大学入学時から3年半にわたるそれらの変数の変化について、「変化したと思うか、その変化は何に影響を受けたと思うか」についての個別インタビューという質的データの分析も加えた。 残りの31名については、平成15年に大学1年生だった実験群5名、統制群10名、平成16年に大学1年生だった実験群6名、統制群10名について、現在も(1)一般英語力、(2)英作文力、(3)書くスピード(流暢さ)、(4)英作文ストラテジー、(5)英作文に対する動機付けや自信等の観点から観察を継続中であり、全ての観察は平成19年度末に完成予定である。
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