本研究は、地図を教材とした学習について、地理学的アプローチから関連する教科との学習の連携を図る地図教材システムを開発し、その効果的な指導法について検討するものである。初年度(平成14年度)においては、小中学校向けの地図教材を教師の教授戦略や生徒の学習環境に合わせて再構築して提供する配信システムを開発した。これは、教師の教授戦略に基づく地図教材コンテンツの作成支援と、利用目的にあわせて再構成される地図教材コンテンツを配信するシステムとの位置づけた本研究の基盤となるシステムである。配信するコンテンツは、XML技術を活用した様々な地図の可視化を行える地図コンテンツとそれらを提示する教材コンテンツからなる。システムは、これらの検索手段に利用するメタデータを管理する機構を有する。これにより、利用目的別に地図利用、教材利用のための検索や、生徒の教材利用、教師の教材開発のための検索など、複合的な検索を可能にする。 また、有効な教材の再利用という観点から、地図教材を構成する機能を分割して管理し、必要に応じて再構築して利用できるような仕組みについての検討も行った。この機能は、教材を利用目的別に分類し、部品化して管理することで実現する。そして部品化したものを教師の教授戦略や生徒の理解度、そして授業内容に合わせて再構築し、新たな地図教材コンテンツとして配信できるようにした。 小学校4年の社会科の授業を計画し実施した。計画は、予定通り完了しシステムも正常に動作した。授業後にアンケート調査を行い、児童の関心度について調査した結果、興味と関心の高さが確認でき、本システムの利用の可能性を確認できた。
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