研究概要 |
本研究は、小中学校のためのインターネット地図教材ツールについて、複数の科目間での利用を目論んだ教材システムの開発し、それを授業でどのように使い指導していくかについて研究を行っている。本ツールは、国土地理院が研究をすすめている電子国土Webの地図情報と連携している。本年度(3年目)は、本教材を利用する授業計画を設計し、教材としての有効性について検証を行った。 本年度は、社会科以外の科目についてカリキュラム設計をおこなった。一つは、理科教育における授業計画とその実践である。これは野外調査において,環境に関わるデータ(測定データ)を収集しながら,子ども達自身が行った活動を振り返り,観察から得られた情報を地図上に表現し連携させることで,学びを確かな知識へと補強させていくことを狙った学習目標のもとに計画したものである。調査の際に、PDAなどIT技術を導入した支援を行い、まとめの際に、本地図教材システムを活用した。これは、小学5年生の総合的な学習の時間において実施された,「酸性雨」を計測し、環境破壊について学ぼうというものである。成果としては、これらのITツールの活用は,児童の主体的な野外調査活動に,スムーズに受け入れられた.その際、目標の発見,計画,調査項目については,児童の主体的な活動を阻害しないよう配慮した.調査結果を踏まえ,子ども達は,酸性雨への関心が高まった.もう一つは、授業設計として、図工の中での地図の活用を試みた。危険な場所や、案内図を作成する際のランドマークの選択、表現方法について、地図から情報を読み取り、独自の案内図を作成するものである。地図表現手法を中心とした地図研究の中に,空間認知の育成や,視覚伝達デザインの考え方を取り込むことにより,表現能力の育成を試みた授業設計である。
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