研究概要 |
我々は,この研究で開発した地図教材システムが学習指導に有効であることを吟味した.我々は,小中学校の児童・生徒および教師を利用者と想定した,地図教材システムを開発した.本システムは,基盤となる地図情報として国土地理院の電子国土システムのサーバから提供される地図を利用している.その地図に本システムが設定するメッシュ図をオーバーレイする.協調学習の課題は,地図の利用として典型的な土地利用図を1クラスの児童が協同してメッシュの色塗り作業で作成することとし,そのための操作が簡単な編集機能をシステムに用意した.作成したメッシュ図は協調学習の成果(ポートフォリオ)として,システムに蓄積する.また,このポートフォリオを基に別のポートフォリオを制作できるように,本システムでは,ポートフォリオをクラス外に公開し,他のクラスまたは他校が制作したメッシュ図と情報統合し,別のポートフォリオを派生して制作できる持続的生産過程のための機能を持たせた.これらの学習用の知識表現にはRDF(Resource Description Framework)やRDF schemaを用いている. 指導案を作成し,システムをインターネットで公開した.本システムは2004年1月の公開以来現在までに210のメッシュ図が登録され,その中には土地利用図の他に,蛍の分布図や危険箇所図も作成された.これは本システムの有効性と他教科教材としても利用できる汎用性を示していると考える.また,システムには,開発した土地利用図などの主題図を用いた学習の支援システムによる知識の形成・結合・共有の機能を持たせ,学習者の協働の知識形成を支援する.一人の学習者が地図を読図して獲得した地理的な知識を,Web上で凡例付きのメッシュ地図として表現し,さらにその凡例をもとに作成されるメッシュ地図を共有しながら,協働の知識として個人レベルからクラス単位,学校間へと結合して拡張することを可能にする.
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