教科学習につながる外国人児童用日本語指導教材および教授法の開発を目指して、日本の小学校における外国人児童の教育の実態を調査した。センター校を中心に小学校3校を訪問し、授業見学、指導者との意見交換を行った。日本の教育現場での基本的な方針は、外国人児童に必要な日本語指導は少人数または個別の取り出し指導等で行うが、その他の教科はできるだけ日本人児童と一緒に原学級で教育していこうというものである。社会、算数、理科などの教科指導を取り出し指導でおこなっている学校は少数である。 いわゆる言語教育としての日本語指導をどこまで行い、どの日本語レベルから教科の内容を使った日本語指導を行うのが効果的であるかを次年度には明確にしたい。日本語レベルの設定が各学校や指導者によって異なるので、外国人児童の日本語レベルの標準化がまず必要である。その上で、教科の内容を日本語指導に取り入れ、教科内容を学びつつ学習手段としての日本語が習得できるような教授法を提案したい。 外国人児童生徒に教科内容を教育することを第1目的として行っている授業を見学するために、このような授業の先進校であるハワイの小学校、中学校、高校を訪問し、授業見学、指導者との意見交換を行った。また、教育省・ハワイ大学教育学部の教授と会い、ハワイ特有の問題点などの情報を得、日本の教育現場に応用できる部分とできない部分を認識した。一般的に、日本の外国人児童の場合は日本語がわからず、特に漢字の問題があり、教科学習についていけない者が多いが、ハワイの場合は、英語でコミュニケーションはできるが、教科学習の内容についていけない者が多く、第二言語としての英語クラスに5年間在籍している者もいた。 日本語にしても英語にしても、言語を使って教科を学習していくためには、読み書きが重要になる。日本語においては漢字の問題は避けて通れない。コンピュータによる教材も検討したい。
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