研究課題
基盤研究(C)
教科学習につながる新しい形の外国人児童用日本語指導教材とその教授法を開発し、具体的な教材を小学校の教育現場に提供するという研究目的のために、まず、国内の教育現場を見学し、話し言葉から書き言葉への移行が図られていないこと、その解決策として各教科の専門語彙を単に教えればいいのではないことなどを把握した。来日直後の生活適応を中心とした初期日本語指導が終わった段階(ポスト初期段階)で指導すべき項目を選定するために、教科学習の中心となっている教科書の分析を行った。その結果、国語以外の教科書では客観的な表現が多く、感情表現は少ないこと、活用語はどの形も均等に出現するのではなく、過去否定形などはほとんど使われていないこと、話し言葉では回避されがちな受身文や連体修飾節などの項目および漢字の指導が教科学習には不可欠なことが明らかになった。現在の教育現場で実施できる方法として、日本語を使って日本語指導を行う以下のような教授法を開発した。(1)教師が日本語で説明しながら簡単な実験を行ったり、子どもに実習させたりして、子どもに一連の体験をさせる。(2)子どもの頭の中で、体験した行動と日本語を結びつける作用が起きるように、体験した行動を日本語で表現したものを聞かせたり、読ませたりする。(3)日本語の学習項目を子ども自身が自覚し、日本語表現として獲得するように、練習問題をさせ、考える時間を与える。(4)指導項目の定着を促進するために、レベルにあった読み物を読ませ、話させ、書かせて、指導項目を使う機会を多く提供する。(5)日本語能力全体の養成と同時に、教科学習に必要な観察、実習、実験、調査などの学習技能に慣れさせる。以上の教授法を用いて、教科書分析から優先順位の高かった指導すべき項目を中心に教材を作成し、研究成果を教育現場に還元する「ポスト初期指導の教材」とした。
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東京外国語大学留学生日本語教育センター論集 31号
ページ: 111-124
2005年度日本語教育学会秋季大会予稿集
ページ: 164-169
Bulletin of Japanese Language Center for International Students 31
東京外国語大学留学生日本語教育センター論集 30号
ページ: 73-86
Bulletin of Japanese Language Center for International Students 30
東京外国語大学留学生日本語教育センター論集 29号
ページ: 69-83
ページ: 211-224
Bulletin of Japanese Language Center for International Students 29
Proceedings for the Conference of the Society for Teaching Japanese as a Foreign Language in the autumn of 2005