研究概要 |
日本語のリズムを形成する単位としてリズムユニットという音韻的な単位を設定すると,日本語リズムは「拍の等時性」ではなくリズムユニットの配置特徴,すなわちユニットの持続時間の特徴として音声的にとらえることが可能になる。このことに基づき,様々な言語を母語とする学習者のユニットの配置特徴を音響的に分析することで,日本語母語話者とどのように異なるかが明らかとなり,新しい音声教育の視点も得られるものと思われる。 これまでの音響的な分析結果では,日本語母語話者の場合,資料として用いた語の音韻構成によってユニットの計測値に幅があることと,同じユニットでも音韻環境によって計測値に違いがあることがわかった。この結果に基づいて学習者,特に中国語(北京方言)話者,米語話者,韓国語話者,スペイン語話者のユニットを分析した結果,いずれも特徴的な持続時間の特徴を持つことが明らかになった。しかしながら,音響的な計測点の問題を残しつつも,ユニツト2という長いユニットの一つであるCVCV(Cは子音,Vは母音)の音響的な振る舞いについては分析が厳密にはなされていなかった。そこで今年度は、CVCVの分析を中心に行った結果,CVCVというユニットの音響的な特徴が明らかとなり,計測点の問題も一層はっきりした。この研究と同時にユニット知覚の実験準備も整えてきた。15年度には,ユニットの知覚と音響分析基準との関連性を明らかにし,学習者の持続時間の特徴を呼気流量,呼気圧の観点から分析していく予定である。
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