研究課題/領域番号 |
14580330
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村岡 貴子 大阪大学, 留学生センター, 教授 (30243744)
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研究分担者 |
大谷 晋也 大阪大学, 留学生センター, 助教授 (50294137)
仁科 喜久子 東京工業大学, 留学生センター, 教授 (40198479)
深尾 百合子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (90272640)
因 京子 九州大学, 留学生センター, 助教授 (60217239)
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キーワード | 農学・工学系日本語論文 / 緒言 / 接続表現 / 論理展開 / 文章の構成要素 / コーパス / 共起表現 / 段落 |
研究概要 |
本年度には、前年度の研究結果をふまえ、まず、農学系と工学系の留学生指導教員より、研究遂行上重要であると推薦された6学術雑誌の日本語論文を対象に、「緒言」の文章構造に注目し、各文章の言及内容のまとまりとしての構成要素を、形式段落(以下、段落)によって位置を特定しながら抽出した。その構成要素の出現傾向を分析し、接続表現等にも注目しながら緒言文章における論理展開パターンの様相を記述した。調査の結果、分野は異なっても緒言文章は3段落校正が最も多く認められ、典型的であると考えられた。また、この3段落構成の文章には、「領域提示」「課題設定」「研究動向提示」「論文概要紹介」の4構成要素が、各々特定の段落に配置されやすい傾向のあることが明らかとなった。つまり、段落が、構成要素という記述内容をある程度構造的に限定していると言える。 次に、「緒言」に出現する接続表現に着目し、文章の論理展開の様相を記述した。同上の6雑誌の日本語論文から段落が3段落構成の論文の文章を90編選び、緒言文章コーパスを作成し、それを用いて接続表現とそれを含む分を、作成したプログラムで検索した。調査の結果、どの分野でも頻繁に用いられていた「しかし」と「そこで」は、出現状況に特徴が見られ、文章の論理展開に寄与していた。「しかし」は、その分の文末に動詞等の否定形か否定的な意味の表現が共起しやすく、先行研究の不足や、別の観点の導入と新たな提案等を導いていた、また、「そこで」は、緒言文章の3段落目に集中的に出現し「本研究では」等の表現と共起し、論文概要の紹介の開始を明確に示していた。さらに、農学系は、第3段落、での「そこで」の出現頻度の高さ、およびその文末動詞「タ形」との共起率の高さにより、工学系よりパターン化が明確に認められた。
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