研究概要 |
外国人生徒が高校入試を受けるにあたり,特別枠もなく,一般入試を受けなければならない場合,教科内容が分っているにもかかわらず,設問文が理解できず解答の仕方がわからないという切実な問題がある。本年度の研究では,英語の全国高校一般入試問題(2002年)の設問部分をデータ入力し、分析した。英語の問題の出題形式には,話し方,聞き方,語彙,読解,英作文,英文和訳文法がある。例年,読解力を試す問題が中心に出題され,全問題の約5割が読解総合問題である。 分析にあたっては,まず,出題形式とその具体的項目(例えば,読解のうち適語補充など)ごとに,その設問文を入力した。次に設問文の求める解答形式を「選ぶ/日本語で書く/英語で書く/並べ替える/()に入れる/完成させる」に分類し,それをさらに「どこの/何を/何個/どのように答の書き方」の項目を設けて,各設問文中のキーワードをこの項目の当てはまる個所に書き出す作業をしている。 上記の解答形式ごとに設問文の分類をし,解答項目のキーワードを一覧表にして,それぞれの設問文を例示して外国人生徒に理解させるようにする。それによって一見複雑に見える日本語の設問が,何を要求しているか分かりやすくなる。わからない日本語を無視して,設問のキーワードを見つけ,設問の要求している解答を理解する訓練をすれば,入試対策として有効であると考える。 入試対策としてさらに明らかにすべきことは,同内容の設問でありながら異なった語棄や句で表現されているため,外国人生徒には理解が困難であるという課題である。例えば「正しい答を書きなさい」という設問とほぼ同様な解答要求でありながら,「ふさわしいもの/適切なもの/内容とあうもの/適当なもの/あてはまるもの/正しいもの」などがある。
|