研究課題
基盤研究(C)
平成16年度は、採取した熊本方言話者同士の日常会話から、接続助詞「て」、「てから」、「けん」、「けんが」、終助詞の「ね」を含む発話の実験音声学的な分析をおこなった。「て」は、発話全体にリズムをつけるために、引き伸ばされ「て〓え」のような調子をつけられることが多い。「てから」では、「てから」を含む文節の前にdownstepがきて、その文節全体が低く抑えられるか、「-てから」までが高い調子でその直後に音調が下降するパターンが見られた。「けん」は、低いままの音調、「け〓ん」のように音節内でピッチの下降が見られる音調、「けん〓」のように、直後に下降の見られる音調、以上があった。「けんが」では、発話のリズムのためか、「けん」まで低く続き、「が」で高くなって、「が〓あ」と下降する調子が見られた。「ね」の特徴的な音調は、直前の語が高い音調を保ち、カクンと落ちて、「ね」が続く場合である。これは、引用の「て」と共通する音調であり、熊本方言らしさを示す一つの指標となっている。これらの言語要素の音調のバリエーションと、意味・用法との対応関係は今後の課題である。順次動作を表す場合は、共通語でも熊本方言でも「て」、「てから」の両方が使われる。熊本方言には、文末にきて相手に対する非難を示す「てから」、文中にきて否定の付帯状況を表す「んでから」があるが、これらの用法は共通語にはない。「けん」と「けんが」との違いの一つに、文末で「行くけんね」は新情報として提示されるが、「行くけんがね」は聞き手にとっての既知の情報、あるいは当然知っているはずの情報を念押しするように提示するときに使われる、ということがあげられる。
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熊本県立大学文学部紀要 第11巻通巻第64号
ページ: 79-97
社団法人電子情報通信学会信学技報 SP2004-21(2004-6)
ページ: 11-16
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS TECHNICAL REPORT OF IEICE SP2004-21
Prefectural University of Kumamoto Journal of The Faculty of Letters