1.項目反応理論における等化法の標準誤差の理論の整備 テスト理論において主流となりつつある項目反応理論(Item Resonse Theory ; IRT)によって開発されたテストは、項目の特性を表す値(パラメータ)が標準となる受験者集団の水準やばらつきに依存する。これを統一した尺度で表す手続きがIRT等化法であるが、限られた標本を用いるために誤差が含まれている。その誤差の大きさは通常、標準偏差であらわされ標準誤差と呼ばれる。当研究ではIRT等化に関連する各種の指標の標準誤差を導いた。 2.項目反応理論を用いたテスト等化法の安定性評価ソフトウェアの開発 本研究ではIRTに基づく新しいテスト等化法の作成と共に既存の等化法と新たに開発した等化法の各種標準誤差を出力するソフトウェアを開発した。ソフトウェアで扱った等化法はつぎのとおりである (1)共通項目法を等化デザインとするモーメント法による等化法 (2)共通項目法を等化デザインとする反応関数(特性曲線)法による等化法 (3)共通項目法を等化デザインとする最小二乗法による等化法 (4)項目反応理論による等化後の真の得点に関する等化法 (5)項目反応理論による等化後の正答数に関する等化法 (6)等化法に関連する項目反応モデルにおけるパラメータの推定法 このうち(3)-(5)が新たに開発した等化法である。 3.ソフトウェアの公開及び最終報告 開発したソフトウェアはFortran90で記述されたサブルーチンの形式をとるものである。一連のサブルーチンはEL Version1.0と名づけられ研究代表者のホームページ(http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~hogasa/)でマニュアルが公開され、ソースコードは希望者に配布することとした。その概要は2003年8月にべルリンで開催された第54回国際統計学会議で発表した。
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