脳磁図データから自発磁場データを分離して誘発磁場なる特定の時間構造を持つ脳活動データを抽出するために独立成分解析なる手法を前処理として用いると、独立な課題に関連する要因毎に時系列データを分離することが可能になり、周期的刺激に関連する大脳活動部位間の動特性が統計的逆問題の観点から読み解けると分かった。つまり、聴覚の繰り返し刺激の誘発磁場データを調べることにより、パルス音なる刺激が対側脳にある聴覚野にまず届き、その後同側の聴覚野に届いている可能性があることを明らかにし、さらに、フィードバックシステム論的手法を用いることで、聴覚野の部位間の動特性を示す伝達関数とインパルス応答を推定した。 同様な試みは昨年度の課題により、正中神経繰り返し刺激による左右体性感覚野部位間の機能連関を動特性として同定したが、今年度はその経路のロバスト性を調べることで大脳間の伝達経路の判定を試み、手首の正中神経刺激が対側脳にある体性感覚野にまず20msecで届き、その後、脳梁等を経由して同側の体性感覚野に届いている可能性があることを明らかにした。 これらのデータ解析の前処理として独立成分解析が用いられているが、この手法にはSN比を向上させる特質があることを正中神経繰り返し刺激による体性感覚野における高周波振動現象にて加算平均波形の幅を評価することから独立成分の採用の有無でSN比の向上していることを明らかにした。
|