研究概要 |
1元配置の設定で,従来研究を続けてきた単調仮説の拡張として凸性仮説の研究を行った.とくに単調仮説と段差型変化点モデルの関係に対応して,凸性仮説とスロープ変化点モデルの関係を明らかにした(Hirotsu & Marumo, Scandinavian J. Statistics, 2002). 次に,この1元配置の結果を,2元配置交互作用問題に拡張する研究を行った.具体的に高血圧症患者の24時間血圧値が夜間上昇あるいは平坦というパターンを取り,健常者の夜間低下型と異なることに着目し,被験者を血圧の経時プロファイルに従って分類する手法の研究を行った.すなわち,夜間上昇あるいは低下を,血圧経時プロファイルの凹性,凸性として定式化し,これらのパターンを被験者間で区別することを交互作用の多重比較問題として定式化した.ここで,通常の2元配置と異なり,経時データ特有の相関の処理の問題についてもいくつかの提案を行った(Hirotsu & Ohta, MCP Conference in Baltimore, 2002).引き続き,提案した手法の有用性を実データで検証する研究を行っている. 一方,パラメータに関する制約条件下の最適実験計画は世界的に見てもかなり立ち遅れている.筆者は以前の研究で,単調仮説に対する最適実験計画と対応するミニマックス検定の提案を行ったが,今回はそれと釣合型実験計画および関連する各種検定法との検出力比較を具体的に行った(Hirotsu, J. Statist. Planning and Inference, 2002).その結果はかなり刺激的であり,従来専ら考えられている釣合型計画に対し,ある種の不釣合型計画を考える必要性が強く示唆された.これを受けて,現在凸性仮説に対する最適実験計画の研究に力を入れている.
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