グラフの列挙アルゴリズムの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14580363
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 中野 眞一 群馬大学, 工学部, 助教授 (30227855)
• キーワード: グラフ / 列挙 / アルゴリズム / 平面グラフ

研究概要

本研究は、様々なグラフをもれなく、重複なく、高速に全列挙するアルゴリズムを開発するものである。一般に列挙すべきグラフは膨大な個数であり、膨大な計算が必要とされる。よい列挙アルゴリズムがあれば、必要な計算を大幅に減らすことができる。われわれは、きわめて高速な汎用グラフ列挙アルゴリズムの開発を目指している。
我々はすでに、平成13年に、極大平面グラフを、きわめて高速に列挙するアルゴリズムを開発している。これは、従来のアルゴリズムが、極大平面グラフ1個あたり、○(n^2)回の計算が必要であったものを、わずかに、○(1)回の計算ですむように、大幅に効率化したものである。
平成14年度は、このアルゴリズムを拡張し、扱えるグラフのクラスを、大幅に増やすことに成功した。3連結極大平面グラフ、次数制限のある極大平面グラフ、フロアプラン、平面木等、様々な重要なグラフのクラスに対して、高速列挙アルゴリズムを開発した。これらのアルゴリズムの基本的な設計は、同一であるが、それぞれの列挙問題を高速に解くために、多くの工夫をしている。これらの成果を5編の学術論文として発表し、いずれも高い評価を得ている。
また、これらの列挙アルゴリズムの一部をソフトウェアとして実装し、計算機実験により、実際の性能も調査した。さらに、列挙したデータ、すなわち各クラスのグラフの一覧データ、を広く利用してもらうために、インターネット上でも公開している。 http://www.msc.cs.gunma-u.ac.jp/nakano lab/Enu/enumeration.html
今後、このようなデータを充実させ、離散構造の一覧データベースを構築したい。

研究成果

• [文献書誌] Rahman, Nakano, Nishizeki: "Rectangular Drawings of Plane Graphs without Designated Corners"Computational Geometry Theory and Applications. 21・3. 121-132 (2002)
• [文献書誌] Shin-ichi Nakano: "Enumerating Floorplans with n Rooms"電子情報通信学会英文論文誌A, IEICE TRANS. FUNDAMENTALS. E85A・7. 1746-1750 (2002)
• [文献書誌] 金子雄一, 中野眞一: "2連結内部極大平面グラフの数え上げ"電子情報通信学会論文誌A. J85A・7. 811-813 (2002)
• [文献書誌] 金子雄一, 中野眞一: "平面グラフのランダム生成とその応用"電子情報通信学会論文誌A. J85A・9. 976-983 (2002)
• [文献書誌] Shin-ichi Nakano: "Efficient Generation of Plane Trees"Information Processing Letters. 84・3. 167-172 (2002)
• [文献書誌] Shin-ichi Nakano: "Enumerating Floorplans with some properties"Interdisciplinary Information Sciences. 8・2. 199-206 (2002)