研究概要 |
人工現実感で医学用オブジェクト,自然物(動植物等),遺物や芸術作品などをリアルに表現し,視点をオブジェクトに近づけて微細構造を観察する状態から離れて概観する状態までの間を必要な解像度で連続的に効率よく表現するために,以下の項目について研究・開発を行なった. 1.微細構造を持つオブジェクトのモデリング方式の研究 形状分解能が数百倍のダイナミックレンジを扱うことができる階層化モデリング方式を開発した.これにより,微細構造を持つVRオブジェクトの描画処理を,観察者の形状認識特性を考慮して簡略化し,効率良く表示することが可能になった.さらに,オブジェクト表示上の動きに対応した観察者の形状認識特性を考慮し,微細構造を持つオブジェクトの速い動きに滑らかに追従する描画処理方式を開発した. 2.微細構造表現のための実物体からの形状取得方式の開発 動植物,遺物,芸術作品などを仮想空間で扱う場合,実物体からデータを取得する必要がある.実物体と同様な微細構造を取得しようとすると,形状計測視野と分解能のトレードオフにより局部的に取得した形状を接合して全体形状を再構成する必要が生じる.この場合の接合誤差を最小化する形状計測法を開発した.交差レーザスリットを利用した高精度位置姿勢計測法を開発し,実装実験を行った.また,実物体から正確な分光反射率データを効率良く取得する方法を開発し,仮想空間上で任意の照明条件による再現を可能にした. 3.高現実感表現のための表示方式の研究 よりリアルな仮想物体表現のために,裸眼立体表示を実現する.上述のモデリング方式を高解像度多視点レンチキュラ方式に適用する方法を開発し,裸眼によるリアルな表示と仮想空間操作方式を開発した.
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