研究概要 |
本年度は3次元モデルの形状類似検索と,2次元ベクトル型電子地図に対する透かし,および3次元メッシュモデルおよび点群モデルに対する透かし,について以下の成果が得られた. 1.3次元モデルの電子透かし:3次元ポリゴンメッシュの形状をスペクトル分解した領域で透かしを埋め込む電子透かし手法を改良し,(1)相似変換,メッシュ簡単化などを組み合わせた攻撃に耐え,また,(2)数万頂点を越える大きなメッシュにも埋め込めるようになった.(2002年9月に査読付き国際学会EUROGRAPHICS 2002で発表.同時に論文誌Computer Graphics Forumに掲載.) 2.ベクトル型2次元電子地図の電子透かし:ベクトル型2次元電子地図の周波数領域における表現を変更してすかしを埋め込む電子透かし手法を開発した.評価実験の結果,我々が2001年度に開発した手法(2002年8月に査読付き国際会議IEEEICME 2002で発表)に比べ,より攻撃に対する耐性が高いことがわかった.本手法は,3次元メッシュを対象として我々が開発してきた手法を,カーナビなどで普及しているベクトル型2次元電子地図の透かしに応用したものである.(2003年5月に開かれる査読付き国際会議Shape Modeling International 2003に採録.) 3.3次元形状の形状特徴ベクトル:3次元形状をコンパクトに表現する形状特徴ベクトルを複数提案し,評価した.我々が目指すのは,いずれも,ポリゴンスープを含め広い範囲のモデルが扱え,幾何的縮退などの影響を受けにくい,ロバスト性の高い手法である. (1)慣性主軸周りの包絡線による特徴ベクトル(2002年10月に行われた査読付き国際会議Pacific Graphic 2003で発表.映像情報メディア学会誌2002年10月号に掲載) (2)面上の点対の法線の成す角と点間の距離の2次元ヒストグラムによる特徴ベクトル(2003年6月に開かれる査読付き国際会議TPCG 2003に採録.) (3)多方向からのZ値画像の見かけに基づく特徴ベクトル(国際会議に投稿中.) 4.3次元形状データベースの作成:Internet上に存在する著作権フリーな(主にVRML形式)3次元形状モデルを1000個以上集め,形状特徴ベクトルの性能評価用のデータベースを作成し,形状特徴ベクトルの評価に用いた.(米国Princeton大学のFunkhouser教授らのグループの協力を得た.)
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