研究概要 |
本研究の目的はコンピュータ環境に摩損の概念,を導入し、電子オブジェクトの利用履歴をそのオブジェクトの摩損にマッピングし、それを視覚的に表現することにより自然で効果的な作業環境をユーザに提供することである。ここでいう電子オブジェクトとは,ドキュメント、email、WWWページ、プログラムなどコンピュータ環境でユーザが扱うあらゆる対象を指す。初年度にあたる平成14年度は電子オプジェクトの摩損の表現に利用される摩損効果として、CGによる紙の摩損表現法の開発を行った。デスクトップ環境のファイルやフォルダアイコンをはじめ、多くの電子オブジェクトの摩損は紙の摩損効果で自然に表せると考えられる。また、申請者の知る限り、紙の摩損効果のCG表現法は現在まだ存在しない。従って、映像製作などへの応用も期待される。 平成15年度は実験データに基づき、光の照射や温度・湿度などの異なる環境化で紙の退色をモデリングする方法を提案した。紙の退色は通常長期間に渡って起こる現象で、短期間の実験でこれらの現象を再現するためには限られた極端な条件が設定されていた。このような実験環境で得られたデータから紙の一般的な退色モデルを確立することが平成15年度の主な成果であった。確立したモデルに基づき、光の照射や温度・湿度にあわせて紙が退色するCG映像製作法もあわせて提案・実装した。
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