研究概要 |
平成16年度は,平成15年度の検討に引き続き,複数のプロセスの実行速度を調整制御する機構について,Tenderオペレーティングシステムへの実装を進め評価すると共に,Webサーバを用いた評価を行い,まとめた. 具体的には,プロセッサの割当単位を資源化した資源「演算」を利用したプロセスグループの実行性能調整法を提案した.「演算」を木構造で管理した演算木を示し,「演算」にプロセスを関連付けることにより,プロセスグループの実行性能を調整できることを示した.また,演算木の深さを2以上にすることにより,一つのプロセスグループ内に複数のサブプロセスグループが存在する場合でも,そのサブプロセスグループ単位で実行性能を調整できる.なお,演算には,プログラムの実行速度を調整できる性能調整の演算と,実行の優先順位を示す優先度の演算がある.このため,これらの演算をうまく組み合わせることで,ハードウェア性能に余裕があるときは多量の処理を可能にし,余裕が無いときは処理量の最低保証を行うことができる.また,実装と評価により,提案手法がプロセスグループの実行性能をうまく調整できることを示した.さらに,Webサーバを利用した評価でも,Webサーバプロセスの実行性能を調整し,Webサーバの応答時間を保証できることを示した.提案手法は,性能調整の演算で調整の指定をパーセンテージで行っている.可視化プログラムを調整する場合には,その要求性能が利用者毎に異なるため,利用者がプログラムを動かしながら,その実行速度を調整すると想像できる.したがって,パーセンテージの値の情報に見合って,実行速度が変化することが重要であり,パーセンテージの値に合わせて正確に調整できることはあまり重要ではない.
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