近年、モバイル端末や情報家電などの新しい機器がネットワークに接続され利用されるようになってきている。これらの機器は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの通常の計算機と比較すると処理能力が低く、また利用可能な周辺デバイスが限られている。さらに、ネットワークへの接続・切断が任意の時点で行われるため、使用環境やシステムの構成が動的に変化するという特徴を持つ。このような背景から、本研究では、使用環境やシステム構成の変化に動的に適応し、各計算機の特性に応じた資源管理を行うオペレーティングシステムの構築手法について研究する。 本年度は、システムの構成要素の基本となる各種計算機資源を抽象化するオブジェクトと資源管理を行うエージェントについて検討した。特に、エージェントの自律性と移動性を実現するためのモデルを完成させた。具体的には、以下の4項目について検討し、オペレーティングシステムの一部の機能も実装した。 1.計算機資源の抽象化手法に関する研究 ネットワークに接続された計算機資源をオブジェクトとして抽象化するための手法について検討した。 2.エージェントの実行環境に関する研究 エージェントの自律性と移動性を実現するための機構について検討した。 3.エージェントによる計算機資源の管理手法に関する研究 エージェントが複数計算機上の資源を、計算機間を移動しながら位置透過に管理する機構について検討した。 4.エージェント間通信手法に関する研究 エージェントの位置に依らない通信手法について検討した。
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