近年、モバイル端末や情報家電などの新しい機器がネットワークに接続され利用されるようになってきている。これらの機器は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの通常の計算機と比較すると処理能力が低く、また利用可能な周辺デバイスが限られている。さらに、ネットワークへの接続・切断が任意の時点で行われるため、使用環境やシステムの構成が動的に変化するという特徴を持つ。このような背景から、本研究では、使用環境やシステム構成の変化に動的に適応し、各計算機の特性に応じた資源管理を行うオペレーティングシステムの構築手法について研究する。 本年度は、複数計算機上の資源の管理に関して、エージェントの位置に依らない資源管理が可能であることを確認した。さらに、耐障害性や広域分散環境への対応など、システムの応用についても検討を行った。具体的には、以下の3項目について検討した。 1.負荷分散を考慮した資源管理の実現 本システムでは、複数の計算機の管理を行うことが可能であり、環境の変化に動的に対応し、適切に資源を利用することが可能である。この特徴を利用して、アプリケーションごとに効率的な資源の配分を行うための負荷分散に関する手法について検討した。 2.障害への対応 一部の計算機やネットワークの障害時にも、他の計算機からは障害を意識せずにシステムを利用することのできる機構について検討した。 3.広域分散環境への対応 本システムを、広域分散環境(インターネット環境)を介して使用するために必要となる機能について検討した。
|