研究概要 |
代理制約法は、複数の制約条件式を持つ原問題を単一制約条件式の代理問題に代理乗数を用いて変換し、この代理問題を解くことで原問題の最適解を求めようとする方法である。代理乗数を変化させ、最適な代理問題を見つけて解く問題は、代理双対問題と呼ばれる。この代理双対問題は効率良く解くことが可能である。最適な代理乗数は、Dyer,または仲川のアルゴリズムを用いて求めることができ、各代理問題は仲川のモジュラ法を用いて効率良く解くことができる。しかし多くの離散最適化問題では、代理双対問題に代理双対ギャップ(surrogate duality gap)が存在することが多く,代理双対問題の最適解は原問題の最適解に一致しない。または代理双対ギャップがないときでも得られた代理双対解が原問題の実行可能解にはならないことが多い.この代理双対ギャップを閉じ,原問題の厳密解を求めることができる改良代理制約法(ISC)を仲川が提案した。この解法により3個の制約条件式を持ち1000変数で各変数20の選択項目を持つ問題や8制約で500変数50選択項目の問題のように、極めて大規模な多制約非線形ナップザック問題の厳密解を求めることが世界で初めて可能になった.今後の課題は、計算機実験の結果、ISCを用いて問題を解くとき、規模の大きい問題でも解きやすいものもあれば、規模が小さくても解くことが難しい問題があることがわかった。問題の難しさを測るには、制約条件の数や変数の数、または選択項目数等の問題のサイズではなく、他の尺度が必要であることを示した。その他、非線形ナップザック問題の新しい上界値計算法の提案、リスク管理を考慮したソフトウエア開発管理システムヘの多目的離散最適化法の応用を試みた。
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