研究概要 |
PRAM(Parallel Random Access Machine)は並列計算の最も知られたモデルである。文献中の並列計算アルゴリズムはほとんどPRAMに属する並列計算モデルで書くアルゴリズムである。研究代表者などがBSR(Broadcasting with Selective Reduction)モデルに基づいて1999年に提案したBSR^+モデルは様々のPRAMの中で計算能力が最も強力である。色々な問題に対する時間最適なBSR(BSR^+)の並列計算アルゴリズムが発表されているが、BSR(BSR^+)の並列計算アルゴリズムが実行できる並列計算機はまだ存在していない。一方,LANの普及とPCの低価格化によって研究室の範囲で数台のPCを用いてBSR^+の並列計算アルゴリズムが実行できる環境を作ることが可能になってきた。二年目の研究は,一年目の研究成果に基づいて行った。任意の具体的な並列計算機はプロセッサの数量Pが定数であるが,並列計算の色々の問題に対して,問題の大きさNは変数である。アルゴリズム(プログラミング)の設計と具体的な計算機とは無関係であるのが原則で,並列計算プログラミングのレベルと具体的な並列計算機のレベルの間にはシステムソフトウェアが任意のNからPへの転換を提供するはずである。プログラミングのレベルのBSR^+を定義して,任意サイズNからPへの転換を行う各モジュールを分割した。各モジュールを実現するアルゴリズムを設計して,C言語でプログラムを完成した。Constructing a Random Binary Search Treeなどの応用問題のBSR^+の並列計算アルゴリズムを設計して,BSR^+並列計算アルゴリズムが実行できる環境をLANで実現可能なことを検証した。BSR^+の並列計算アルゴリズムが実行できる環境は,並列アルゴリズムの研究に対して,及び,並列アルゴリズムを用いて実際的な応用問題の解決に対して,十分な援助が提供できる。
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