PRAM(Parallel Random Access Machine)は並列計算の最も知られたモデルである。BSR^+モデルは様々なPRAMの中で計算能力が最も強力である。このモデルは研究代表者などがBSR(Broadcasting with Selective Reduction)モデルに基づいて1999年8月にIEEE Trans.Parallel Distrib. Systemsで提案したものである。LANの普及とPCの低価格化によって研究室の範囲で数台のPCを用いてBSR^+の並列計算アルゴリズムが実行できる環境を作ることが可能になってきた。そこで、本研究では1台のパソコンをBSR^+の内連接器(Interconnection Unit)と制御器(Control Unit)として、P台(4≦P≦6)のパソコンをP個のプロセッサとして、BSR^+並列計算機の機能を実現した。任意の具体的な並列計算機はプロセッサの数量Pが定数であるが、並列計算の色々の問題に対して、問題の大きさNは変数である。アルゴリズム(プログラミング)の設計と具体的な計算機とは無関係であるのが原則で、並列計算プログラミングのレベルと具体的な並列計算機のレベルの間にはシステムソフトウェアが任意のNからPへの転換を提供するはずである。本研究では上記の転換を提供するBSR^+の並列計算アルゴリズムが実行できる環境をLANで実現可能なことを検証した。BSR^+の並列計算アルゴリズムが実行できる環境は、並列アルゴリズムの研究を支援する環境、及び、並列アルゴリズムを用いて実際的な応用問題の解決を支援する環境を提供できる。
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