研究概要 |
特許庁の作成する商標(2値画像)登録データベースから抽出した,1200枚のカタカナ文字画像(50×50)に対して,基本的な正規化相関関数に基づく相関構造不等式を導出した.これを利用して,未知相関値に対する具体的な拘束条件式を導いた.上記の試作データベースにある登録画像の検索実験の結果,最大32倍,平均8倍の高速化を達成できた. この結果は,危険水準の設定を入れずに,相関構造にのみ着目して検索実験を行ったものである.検索時間,その分散,検索精度などの基本特性を調べた.この段階では検索精度は理想的な性能をもつはずであるが,検索時間に関しては,利用者が予め想定する検索解がどのような順番で出力されるか,その順番は適当か,などについても評価した. 提案する手法においては,商標画像や地図画像に対する探索での利用を考えているため2値画像に対象を限定している.照合評価値として,テンプレートマッチングに一般的に用いられている正規化相関を用いている.高速化の手法として画像同士の相関係数値を事前に計算しておき,検索の対象画像と登録画像間の相関係数値を用いて計算される,拘束不等式条件より対象画像と登録画像の相関係数値の区間推定を導出し,解探索に寄与しない余分な相関計算を排除することによって効率的に行う手法について検討する.本論文においては,相関値の区間推定を導き,2種類の参照画像(ピボット画像)に基づくアルゴリズムを独自に提案して,画像データベース検索問題や複数テンプレート照合問題に対する有効性を示した. 上記をまとめて,画像電子学会論文誌3月号に研究論文として掲載した.
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