1.知識ベースの自己適応化法 Causal-networkを利用した自己適応化法を階層構造教材(例:章の解説→節の解説→演習問題実施)に適用した場合、演習問題とその上位ノード(通常は節の解説)間の条件付確率の値が適切な範囲にないと、意図したような適応化動作が得られない場合が起こる。そこで、本年度は演習問題の難易度を5段階に分類した場合について、妥当な適応化動作を可能にする"演習問題ノード"と"節の解ノード"間の条件付確率値の実験的設定法を導出した。さらにJavaプログラマー認定試験対策支援の具体例を使用して、本手法の妥当性を検証した。 2.知識ベースの自己組織化関係 教材実行空間であるアクション空間とユーザプロファイル評価空間であるリアクション空間からなる本自己適応化法において、リアクション空間の構造は、基礎となるツリー構造に、ツリー構造には存在しない"斜めパス"を複数付け加えたDAG構造となることが多い。本年度はリアクション空間が一般的なDAG構造の場合について、運用データから上述の"斜めパス"を発見する自己組織化アルゴリズムを求めた。またシミュレーションにより、"斜めパス"の検出精度(検出パス総数に対する正解パス数の割合)が50%程度であることが分かった。この50%という値は必ずしも高い値とは言えないが、この処理を人間エキスパートの行う斜めパス検出処理の前処理として導入すれば、エキスパートの労力を著しく軽減できると考えられる。
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