研究概要 |
本研究は道路などを撮影した画像を用いて,そこに進入する物体や人物を検出し追跡する処理に.関する研究である.現在までに,検出対象として特に歩行者に的を絞って研究を進めてきた.本年度実績の概要は以下のとおりである. 画像から歩行者を検出する処理は,2台のカメラによる方法を採用しているが,この手法を様々な形状の背景物体に対して適応できるようにするため、区分的平面近似による画像の変換と,カメラの感度補正手法を開発した.この際,カメラの感度特性をモデル化する必要が生じたのでこれを行い,その正当性を実験により検証した.歩行者一人ひとりを同定する処理に関しては,接近した人物の分離を良くするため,ウイナーフィルタに似た計算を行うテンプレートマッチング手法を開発した.この手法により,特に照明条件が悪い場合に,接近した歩行者を分離する能力が向上した.この手法は従来の相関によるテンプヒートと同じく高速フーリエ変換の演算が利用できるので,少ない演算量で実行できる.また,歩行者を追跡するアルゴリズムを新たに開発した. 以上の手法を組み合わせた処理プログラムを作成し,それをパーソナルコンピュータ上に実装した歩行者追跡システムを構築した.このシステムを用いて,様々なシーンにおいて評価実験を行った結果,当初の目的である照明変動や影に影響されない安定した歩行者追跡が行えることが検証された.なお歩行者追跡の成功率は約93%であった。以上の成果を学術論文としてまとめ学会誌に投稿し採録された.
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