研究概要 |
本研究の目的は、感性データに内在する「個人の認識における複雑性」と「評価対象自体の複雑性」を考慮して、評価におけるあいまい性に注目する「アンサンブル・モデル(ensemble model)」と,文脈のあいまい性に注目する「コンテクスト・モデル(context model)」の同定法を開発することである。 アンサンブル・モデリング手法に関しては、既に因子分析と数量化理論I類に対して有効性が確認されている。本年度は、主成分分析と数量化III類モデルに対してこの概念の拡張を試みた。ただし、これらは外的基準が存在しない場合の手法であるため、新しく相対的ファジネスの概念を導入して理論を発展させ、環境評価問題に適用した。成果は2編の国内学会誌、2編の国際学会誌で発表し、さらに2編を投稿中である。 具体的には、環境評価データの収集を大学院学生の研究補助を得て実施し、居住地域や個人的属性によって異なる評価データが得られたことから、収集データを用いて「アンサンブル・モデル」を構築し,環境科学会,感性工学会,ファジィ学会などにおいて発表し評価を受けた。 一方、コンテクスト・モデリング手法については、ポスドクの学生の協力を得て、コンテクスト・モデルの性質を様々な角度から吟味し、モデリング手法開発の準備を行った。特に、大量のデータから意味のある知識をそのコンテクストと共に抽出する手法について、既存の手法の比較検討を行った。その結果、エージェント・タイプの知識発見法が有力であるとの感触を得たので、来年度はこの方向で研究を実施する予定である。
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