感性データの解析手法に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14580414
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 中森 義輝 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (30148598)
• キーワード: 感性データ / 多変量解析 / 知識表現 / ファジィ集合 / アンサンブル・モデル / コンテクスト・モデル

研究概要

本研究の目的は、感性データに内在する「個人の認識における複雑性」と「評価対象自体の複雑性」を考慮して、評価におけるあいまい性に注目する「アンサンブル・モデル(ensemble model)」と、文脈のあいまい性に注目する「コンテクスト・モデル(context model)」の同定法を開発することである。
アンサンブル・モデリングに関しては、本年度は外的基準が存在しない場合についてのファジィ多変量解析モデルを開発した。具体的には「相対的ファジネス」という概念を導入して、評価者の認識の違いに起因する評価のあいまい性と、評価項目自身が持つあいまい性を相対的に図示する手法を開発した。本年度の研究成果を3編(1編は解説論文)の学会誌論文として発表した。今後は、コレスボンポィング分析や多次元尺度構成法にも提案手法を適用して、最終的にはすべての多変量解析の分野におけるアンサンブル・モデリング手法を確立していく。
コンテキスト・モデリングに関しては、コンテキスト発見法の新しい方法として、カテゴリーデータを含む複雑なデータのクラスタリング手法と、エージェント群によるシステムの部分線形構造の発見手法を開発した。カテゴリーデータを含むデータベースからのコンテキスト発見法は、カテゴリーの出現頻度ベクトルをクラスタ中心として採用するという新しくて有効な方法である。また、エージェント群によるシステムの部分線形構造発見手法は、検証可能性の問題から現時点では低次元の空間においてのみ実験を行っているが、従来のクラスタリング手法では発見が困難であったシステムの部分構造を高い確率で発見できるアプローチであり、今後さらに改良を行い、モデリングとクラスタリングの同時分析手法として確立していく。本課題は数人の学生やポスドクの協力を得て遂行しており、本年度は4編の学会誌論文と、8編の国際学会講演論文を発表した。

研究成果

• [文献書誌] Tieju Ma, Yoshiteru Nakamori: "An Agent-based Approach to Identification Prediction Models"Int.J.of Uncertainty, Fuzziness and Knowledge-based Systems. 11・4. 495-514 (2003)
• [文献書誌] Ohn Mar San, Van-Nam Huynh, Yoshiteru Nakamori: "A Clustering Algorithm for Mixed Numeric and Categorical Data"Journal of Systems Science and Complexity. 16・4. 562-571 (2003)
• [文献書誌] 中森義輝, 領家美奈, 河野小夜子: "感性評価データの主成分分析に関する考察"知能と情報(日本知能情報ファジィ学会誌). 15・6. 658-676 (2003)
• [文献書誌] 領家美奈, 中森義輝: "エージェントによるデータベースからのルール抽出法"知能と情報(日本知能情報ファジィ学会誌). 16・1. 60-69 (2004)
• [文献書誌] Mina Ryoke, Yoshiteru Nakamori: "Agent-based Approach to Complex Systems Modeling"European Journal of Operational Research. (in press).
• [文献書誌] Sayoko Kawano, Van Nam Huynh, Mina Ryoke, Yoshiteru Nakamori: "A Context-dependent Knowledge Model for Evaluation of Regional Environment"Environmental Modelling and Software. (in press).