研究課題
本研究の目的は、感性データに内在する「個人の認識における複雑性」と「評価対象自体の複雑性」を考慮して、評価におけるあいまい性に注目する「アンサンブル・モデル(ensemble model)」と、文脈のあいまい性に注目する「コンテクスト・モデル(context model)」の同定法を開発することである。アンサンブル・モデルに関しては、これまでの成果に基づいて、本年度は主成分分析手法と対応分析手法への適応について考察し、理論の精緻化を図るとともに、石川県手取川流域の住民による水辺環境の感性データに適用して有効性を検証した。特に、これまで検討してきた「相対的ファジネス」という概念を整理し、評価者の認識の違いに起因する評価のあいまい性と、評価項目自身が持つあいまい性を相対的に図示する手法を対応分析に適用することに成功した。これらをまとめて英文論文を完成し現在投稿中である。コンテクスト・モデルに関しては数名の共同研究者と協力して同定法を開発してきた。内容は、カテゴリーデータを含む複雑なデータベースに対する新しいクラスタリング手法、エージェントベース・アプローチによる局所的システム構造の発見法、及びそれらの感性評価データへの適用である。カテゴリーデータを含むデータベースからのコンテキスト発見法は、カテゴリーの出現頻度ベクトルをクラスタ中心として採用するという新しくて有効な方法である。また、エージェント群によるシステムの部分線形構造発見手法は、検証可能性の問題から現時点では低次元の空間においてのみ実験を行っているが、従来のクラスタリング手法では発見が困難であったシステムの部分構造を高い確率で発見できるアプローチであり、モデリングとクラスタリングの同時分析手法として今後有望になると考えている。
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