研究概要 |
(1)チャット対話の特徴分析と話題スレッド抽出アルゴリズムの検討 ・多人数対話のための対話管理モデルを検討する第一歩として,チャット対話を題材に,どのように話題が進行していくかについて,データ分析を行い,話題スレッドを抽出するアルゴリズムを提案し,評価を行った. ・話題が続いているかどうかを判断するために,発言間の意味的つながりに着目した.できる限り客観的な分析基準とするために,表層的な手がかりを利用した手続きを作成した. ・コピーアンドペースト,記号による次話者や内容の指定,単語(名詞,固有名詞)といった表層的手がかりを利用して,話題スレッドを抽出するアルゴリズムを提案した.さらに,クローズドテストにより評価を行い,再現率53.0%,精度66.3%で正しく話題スレッドを抽出できることを確認した. (2)対話状況を共有可能なチャット対話システムの試作 ・通常のチャットシステムでは,対話相手の状況をモニターすることができないため,チャットシステムには,発言の疑似的重複現象や複数話題の同時並行現象が起こることが指摘されている.この問題を解決するためのシステムを試作し,その評価を行った. ・現在のチャットシステムの問題点を解決するために,入力状況を共有可能なチャットシステムおよび入力開始時にターンを確保することができるチャットシステムを試作した.前者は,対話参加者が互いにタイプしている文字が実時間で見えるシステムであり,後者は,入力を始めるとすぐ発言スペースが確保されるが,入力している文字はタイプ終了時まで見えないシステムである. ・発言数,発言の長さ,使いやすさに関するアンケートによりシステムの評価を行った.入力状況を共有可能なシステムと入力開始時にターンを確保するシステムは,そうでないシステムに比べ,発言数が有意に多く,入力タイミングの取りやすさとシステムの使いやすさも有意にすぐれていることを確認した.
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