研究課題
基盤研究(C)
神経科学的知見に基づいて構築した海馬の神経回路網モデルを用い、次の点を明らかにした。1.CA3神経回路網の複雑な時空活動の投射によって生じるCA1錐体細胞の膜電位ゆらぎを雑音とし、貫通路からCA1神経回路網に加わるしきい値を超えない周期信号を入力として、海馬CA3-CA1神経回路網で確率共鳴が起こることを明らかにした。2.強化されたシャファー側枝シナプスコンダクタンスの空間パターンとして蓄えられた記憶パターンを、上記の確率共鳴によって、CA1神経回路網の出力パターンとして想起できることを示した。3.海馬神経回路網モデルのシャファー側枝シナプスがCA1錐体細胞内のCa^<2+>濃度に依存して可塑的変化を起こすようにしたとき、δリズムを起こしているCA3神経回路網の10Hz周期刺激に対する応答(カオス応答)によって、シャファー側枝シナプスにLTPが生じることを示した。4.CA3神経回路網の反回性興奮結合がSTDPルールに従って変化するとき、それらのシナプスコンダクタンスが二峰性分布に収束することを示した。分布が収束した後は、学習によってシナプスコンダクタンスの空間分布が変わっても、平均シナプスコンダクタンスとリズム活動の周波数は変化しないことを明らかにした。これは、反回性回路でLTPとLTDが同時に起こっているからである。5.反回性興奮結合がSTDPルールに従って変化するCA3神経回路網の局所領域をθバーストで刺激すると、刺激部位からニューロン活動の放射状伝搬が生じることを明らかにした。これは反回性結合が非対称に強化されるからである。この放射状伝搬は、刺激が無くなっても30s程度繰り返されるので、短期の記憶パターンと考えることができる。6.CA3神経回路網の反回性興奮シナプスとシャファー側枝シナプスがSTDPルールに従う海馬CA3-CA1神経回路網モデルを用い、上記のニューロン活動の放射状伝搬により、入力信号の時系列報をCA1神経回路網のニューロンが学習できることを明らかにした。
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