研究概要 |
最初に,動作の正しいプログラムとの差異を同定することによって,その差異に基づいてアドパイス文を生成する方法について検討を行った.動作の正しいプログラムは評価支援システムのための評価事例ベースに蓄積されているので,それらが利用可能である.すなわち,評価事例ベースから,アドバイス対象となるプログラムに最も類似するプログラムを含む事例を検索し,検索された事例との差異が「採用条件」を満たせばニアミスと判断し,その差異を解析してアドバイス文を生成する.初等アセンブラプログラミングにおけるプログラム間の差異として,正しく動作する方のプログラムを基準とすると,(a)誤命令,(b)命令の不足,(c)過剰な命令,(d)順序の違い,(e)ラペル位置の違いの5種類の差異を扱うものとし,差異の種類に応じたアドパイス文を生成する.このような手法によるアドパイス文生成実験システムをサーバコンピュータに実装し,昨年度に提出されたプログラムを用いて実験を行った.その結果,1度の課題提出で構築された評価事例ベースを用いることで,ニアミスプログラムへのアドバイスの約半分程度を差異に基づくアドバイス支援システムがカバーできる可能性が示唆された.この場合,実用的なアドバイスが生成される割合は75%から60%である. 上で述べた手法とアドバイス事例との類似性に基づいてアドバイス文を生成する手法の2つの手法を採用して,学生のプログラムに対するアドバイスシステムの基本部分をサーバコンピュータ上に実装した.学生がクライアントパソコン上で,プログラムをセットして「アドバイス要求ボタン」をクリックすることで,プログラムがサーバに送られて,サーバでそれに対するアドバイス文を生成してクライアントに送り,アドバイス文が表示される仕組みである.実際の授業で試用して本システムの枠組みが適切に動作することまでを確認した.
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