研究概要 |
本研究の平成14年度の目標は、シンボリック・オブジェクト(量的記述、質的記述の混在した対象)の識別問題において、「記述の一般性を考慮した相互近隣グラフ」とよぶ重み付きグラフと、「記述の一般性を考慮したクラス間相互近隣グラフ」とよぶ重み付きグラフを導入することによって、クラス概念間の違いを与えるサンプル群と、それらがどのような特徴組によって記述されるかを、単純な演算で抜き出す方法を提案することである。現時点で得られた成果は以下の通りである。 (1)提案のグラフ概念を用いることによって、クラス概念間の分離に寄与する特徴組をサンプル毎に求め、そのような特徴組の共通組を求める単純なアルゴリズムによって、十分合理的に「特徴選択」の目標を達成できる見通しが得られた。人工的に、極めて複雑な特徴選択問題を構築し、提案のアルゴリズムが十分機能することを実験的に確認することを行った。これらの成果は、関連の国際会議(Workshop on Symbolic Data Analysis, Cracow, Poland, 2002)において報告した。尚、引き続き他の特徴選択法(例えばAICに基づく方法)との比較等も行い積極的に公表していく予定である。 (2)(1)の特徴選択過程で得られたクラス間の分離とクラスの記述に重要なサンプル群を用いることで、識別対象とするサンプル毎に、動的に識別に用いる特徴組を変化させるような「動的特徴選択に基づく識別機構」の構成が可能であることを見いだした。
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