研究概要 |
前年度に行った検討を基にプロトタイプシステムを拡張してマルチエージェントの協調問題解決システムを作成した.また,RCC(Region Connection Calculus)を基本にした形式的体系およびその上での推論アルゴリズムを拡張し,応用範囲を拡大した.さらに,前年度に引続きセキュリティの形式的表現や検証可能性の扱いについて調査検討を行った.具体的には以下の作業を行った. 1.前年度作成したプロトタイプによる実験評価を踏まえ,エージェント同士の振る舞いや意図が衝突した場合の問題の回避,最終目標の達成,他のエージェントや環境に対する影響などについて検討した.応用例として連鎖的に修正を行うことを特徴とする会議スケジュールの調整システムを作成し,実験評価を行った. 2.前年度提案した,領域の空間の相対的な位置関係だけでなく,空間上で成り立つ性質同士の関係も統一的に扱えるようにした,RCCベースの体系の上での推論アルゴリズムを拡張した.そして,複数の領域上で成り立つ性質を制約条件としてとらえ,そこから領域間に成り立つべき位置的な関係を自動的に導き出せるようにした. 3.秘匿,認証,第三者によるセキュリティ関係の性質について,記述すべき言明およびその形式化について調査検討を行ない,安全な振舞を保証するための推論アルゴリズムについて検討した. 4.エージェント間インタラクションを記述するためにプロセス代数を使用する場合の有効性について検討を行なった.例としてボードゲームをとりあげ,プロセス代数の1つCCSを使って記述し,プロセス間インタラクションの記述と検証を行った.
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