研究概要 |
仮想的な並列計算機であるPCクラスタを用いた分散・協調型環境を構築した.さらに,このような環境に立脚した画像処理の知能化について検討し,以下のような研究成果を得た. (i)画像の領域分割問題を対象とした階層型ニューラルネットワークに対する学習法の知能化(渡邊栄治): 画像全体を複数の小領域に分割した上で,各領域に階層型ニューラルネットワーク(階層型NN)を割り当てることにより,各領域の特徴に応じた分割処理を実現するための手法を構築し,実験によりその有効性を確認した.また,階層型NN間において獲得知識を相互に交換する(協調処理)ことにより,処理速度の改善を図るための手法をも構築し,パターン分類問題に対する実験によりその有効性を確認した. (ii)劣化画像の復元問題を対象とした非線形最適化手法の知能化(尾関孝史): ぼけ画像などの劣化画像を復元する問題に対して,非線型最適化手法を適用することにより,空間的に分割された領域毎に点広がり関数を推定するための手法を提案し,その有効性を実験により確認した.また,解の多様性から,複数の点広がり関数の候補が得られるため,分散・協調型環境を利用した復元手法の有効性についても検討を行なった. (iii)PCクラスタによる分散・協調型開発環境の構築と評価(石川洋): 並列計算の動的負荷分散の手法には,マスタ・スレーブ方式をとる中央管理型と,各プロセスが自律的に動作する非中央管理型がある.ここでは,実際の処理の負荷だけでなく,通信の負荷についても動的分散が期待できる後者に着目し,その実現方法を提案した.また,その有効性を実験により確認した.
|