研究概要 |
平成15年度は、仮想的な並列計算機であるPCクラスタを用いた分散・協調型環境において、具体的な画像処理問題について検討し,以下のような研究成果を得た. (1)複数の階層型ニューラルネットワークを用いた画像圧縮手法を提案し、画像の各領域における特徴に基づいて効率的な画像圧縮を実現できることを示した。 (2)分散・協調型開発環境の利用を前提として,複数のCCDカメラによる協調型画像処理手法を構築するとともに,その手法を障害物が存在する空間内における複数移動物体の抽出実験に適用し,有効性について検討した. (3)劣化画像を復元する問題において、劣化画像から原画像を推定する問題を取り扱った。点広がり関数と原画像が有界であるという境界条件を与えることで、解候補が有限個になることを証明し、その全ての解候補を求めるアルゴリズムを提案した。また、鮮明な画像のエッジは局所的にニ値画像とみなせるという考えから複数の解から最適な解を絞り込むための評価関数を提案した。 (4)PCクラスタ,Unix系OS,および並列処理ライブラリによって構築する分散・協調型環境において,計算機資源の有効利用を目的とする動的負荷分散機能の実現性について検討した.具体的には,各クラスタを自律エージェントで,各エージェントを,通常の計算を行うベースレベルと各エージェント間で協調計算を行うメタレベルとから構成されるメタレベルアーキテクチャの概念を用いて設計した.エージェント間での協調計算で動的負荷分散が可能となる.
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