研究概要 |
研究の効率的な実施のため,当初の研究計画では平成15年度に行う予定であった相関のあるノイズについての研究を行った. 関数近似,画像修復の両方に関して,従来は重畳されるノイズに相関がないと仮定する場合が,ほとんどであった.しかし現実にはレンズなどの画像の生成過程や時系列など関数近似する場合を考えると,ノイズに相関がある場合がより現実的である.まず,このような画像を最適に修復することを,先ほどのフーリエ変換を用いてできるだけ解析的に議論した.この議論で応用上重要な点は,従来はノイズに相関が無いとして,近似や修復を行っていたことであり,その近似がどの程度妥当なものであるかを議論することである.そこで,用いた近似的なモデルの範囲内で,もっともよく修復できる限界点を求め,その限界にどの程度ちかづけるかを議論した.その結果,従来用いられていた周辺尤度最大化法でその限界まで到達できないことがわかり,それがなぜなのかも理解できた.これはこれまで知られていなかった新たな知見であり,ベイズ理論にもとづく画像修復の新たな基礎理論であるといえる.その成果はPhysical Review E誌で発表した.現在この知見を関数近似に応用すべく研究は進捗している. また関数近似のアルゴリズムであるオンライン学習の理論を統計力学的に議論した.特に相関があるノイズの場合も含まれる特異性を持つ学習機械を解析し,その成果をJournal of Physical Society of Japan誌で発表予定である.この知見は上記のガウス過程関数近似の解析にも必須の内容である.
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