計算機制御可能な回転偏光フィルタと高精度デジタルビデオカメラを組み合わせた観測システムの試作を行い、これを用いて、物体の見えからの拡散/鏡面成分の分離実験を行った。その結果、2成分の分離が良好に行われることを確認し、これを画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)において発表した。 (1)問題モデルの特殊性や、分離すべき成分が2個しかないという性質を利用して、分離アルゴリズムを作成した。作成したアルゴリズムは、2成分間の相互情報量を直接評価するものであり、一種の全探索アルゴリズムとなっているため、パラメータの設定等が容易であり、また安定なアルゴリズムとなっている。しかし、全探索という点から速度の面で問題があり、今後開発する動画像分離システムに必要な、効率の良い分離アルゴリズムの研究を進めたい。 (2)鏡面反射成分は物体表面で局在している場合が多く、画像中の広い範囲では鏡面反射は存在しない。つまり、画像の広い範囲にわたって、鏡面反射成分は0となる。このため、画像全体をデータとして用いると、相互情報量の値にバイアスが生じ、正しい分離ができない。提案したアルゴリズムにおいては、鏡面反射が存在する領域のみを分離のためにデータとして用い、この問題を避けた。 (3)カラー画像については、今後カラーカメラを導入し、分離手法を開発したい。 (4)ハーフミラープリズムを用いた2台のカメラによる同時観測システムの試作を行い、同時観測画像の取得に成功した。現在、画像取得だけであれば16枚/秒程度の速度を達成できている。今後、アルゴリズムの高速化に取り組み、準実時間的分離を実現したい。
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