独立成分分析を利用した物体の表面反射からの拡散/鏡面反射成分の分離手法を、対象物や照明源が移動する場合にも適用可能とするため、ハーフミラープリズムを利用した2画面同時観測システムの試作を行った。入力光はプリズムで2本に分離され、それぞれ相異なる偏光方向を持つ偏光フィルタを装着したデジタルカメラで観測される。このことにより、拡散/鏡面反射の成分比の異なる2枚の観測画像の同時観測が可能となった。この観測システムに対して次のような調整/校正を行った。(1)2台のカメラの観測領域の同一性の確保。(2)2台のカメラ間の感度調整(シェーディング調整)。(3)ハーフミラープリズムによる偏光の校正。(ハーフミラープリズムが光路に存在する場合、それをまっすぐに通過する光も、そこで直角に光路を曲げられる光も偏光される。このため、物体からの反射光で無偏光な部分、つまり拡散反射成分についても偏光となり、その輝度は2台のカメラで異なった値となるため、それの校正を行う。) このシステムにより、画像の取得だけであれば16枚/秒程度の観測が可能となり、拡散/鏡面反射の(準)実時間分離システムの可能性が開かれた。この成果は、第9回画像センシングシンポジウムおいて発表を行った。 また、手法全体のまとめを、IEEE Trans.on PAMI誌に投稿し、再録が決定した。
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