研究概要 |
本研究では,動的輪郭モデル(Snakes, Active Contour Models : ACM)へ抽出対象領域の形状に関する事前知識を導入し,高精度で安定した対話的領域抽出を実現するための処理について検討を行う.特に,本研究は,ACM適用時に設定される初期輪郭線には抽出対象領域の形状情報が含まれる(あるいは容易に含ませ得る)ことに着目し,「初期輪郭線から得られる事前知識を積極的に活用する動的輪郭モデル」を提案することで,汎用性・利便性を損なうことなく抽出対象領域の形状に関する事前知識を準備しACMへ効果的に導入する手法の実現を目指している. 本年度は,以下の項目について検討し,その結果を基にプロトタイプシステムの実装を行った. 1.「初期輪郭線から推定された抽出対象領域の形状情報を記述する手法」の検討 利用者が描いた自由曲線から推定された抽出対象領域の形状情報を記述するために必要十分な「形状特徴(記号)の種類」および「形状特徴の並び方に対する制限(記号列の生成規則)」について検討を行い,効果的・効率的な表現を可能とする記述法の実現を図った. 2.「導入された事前知識に基づき効果的・効率的にACMを制御する手法」の検討 記号列として記述された抽出対象領域の形状情報は,事前知識としてACMへ導入される.この事前知識をACMの制御に反映させるためには,導入された記号列に基づき,ACMを構成する制御点に記号(コーナー・直線などの形状特徴)を各々割当て,各割当ての下で制御点の適切な位置の探索を行うことで,ACM(輪郭線)の位置・形状を修正する必要がある.そこで,まず,割当てられた記号と輪郭線の実際の形状との差を評価する手法について検討を行い,その評価値を反映したエネルギーを新たに定義した.次に,ACMのエネルギーを最小とする「記号の割当て」および「制御点の位置」を効率良く探索する手法を提案した.
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