研究概要 |
平成15年度の研究実績概要(文献の番号は11.研究発表の番号を引用) 1.本課題申請時に研究計画として挙げた,ネットワーク型仮想環境のヒューマンファクタの考察を行い,下記に示す5つの知見を得た. 2.遅延と更新間隔を統合したレイテンシの要因と,それにより生ずる情報損との関連を理論的に解析した.具体的には,更新間隔を変数の微小区間と捉えることにより,更新間隔と通信遅延量に基づく離散信号のTaylor展開を考案した.この手法により推定可能な情報が,Taylor展開の次数や更新間隔の細かさにより,どのように変化するかを理論と数値実験の対比により調査し,モデルの有効性を評価した((塙2003)). 3.上記の手法を利用して「同期更新型協調タスク」の予測操作の危険性を,事前に推定する理論モデルを考察し,更新間隔のパラメータの重要性を定量的に明らかにした((Dai2004),(米倉2002)). 4.競合型タスクモデルの一例として,ネットワーク対戦フィールド型DVEモデルを考察し・この応答性に着目したピアツーピア型プロトコルを独自に開発した((米倉2003),(Dai2004)). 5.協調型タスクモデルの一例として,多人数参加型コロコロ迷路を開発したこれは板の動きを複数のプレイヤが協調して制御し3D迷路上の球をゴールへと誘導するもので,これにより協調型の種々のタスクモデルを模擬することが可能となる((米倉2002)). 6.実時間性の弱いタスクモデルの応用として,遠隔アンサンブル演奏システムと遠隔授業用コミュニケーションツールの2つのシステムを開発した.前者では演奏のし易さに着目した遅延の安定化を(Yuka2003),後者では同期型学習と非同期型学習の統合化ツールをそれぞれ実現した(Kazuki2004). 上記の結果,種々のヒューマンプロトコル(実時間性の強弱と競合・協調という文脈型)に対応したプロトコルモデルを提案した.今後は上記を利用した実協調タスクの評価を行う予定である.
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