研究概要 |
平成14年度と15年度の間,筆者らは以下を行った. (平成14年度) 1.競合型タスク文脈をもつアプリケーションモデルの一例として,ネットワーク対戦格闘技ゲームにおけるプレイヤの振る舞いをマルコフモデルにより解析し,対戦相手のアクションを予測するシステムを試作して評価した.また,予測誤差自体を評価関数として適宜これを減少させる適応型予測フィルタを開発し,これを遠隔対戦型レーシングゲームに応用し,その評価を行った. 2.協調型タスク文脈をもつアプリケーションモデルの一例として,迷路追従型ゲームにおける相手の動きを互いに単純線形予測モデルにより予測し,タスクパフォーマンスの向上率を評価した. 3.実時間3次元モデリングの一手法として,高速かつなめらかで位相のあいまいさを排除した,面心立方格子配列による3次元ポリゴンモデルの再構成手法を開発し従来法との比較でその有効性を確認した. (平成15年度) 4.遅延と更新間隔を統合したレイテンシの要因と,それにより生ずる情報損との関連を理論的に解析した.具体的には,更新間隔を基本とするTaylor展開により推定可能な情報の,次数や更新間隔への依存度を,理論と数値実験の対比により調査し,モデルを評価した. 5.競合型タスクモデルの一例として,ネットワーク対戦フィールド型DVEモデルを考察しこの応答性に着目したピアツーピア型プロトコルを独自に開発した. 6.実時間性の弱いタスクモデルの応用として,遠隔アンサンブル演奏システムと遠隔授業用コミュニケーションツールの2つのシステムを開発した.前者では演奏のし易さに着目した遅延の安定化を,後者では同期型学習と非同期型学習の統合化ツールをそれぞれ実現した. この結果,想定し得る種々のヒューマンプロトコル(実時間性の強弱と競合・協調という文脈型)に対応したアプリケーションプロトコルモデルを提案した.
|